私たちは年間延べ7800人(2022年度)を超える児童の具体的で実践的なカウンセリングを実施しています。その中で、保護者の方々の理解とご家庭での連続した療育は大変重要だと考えています。お仕事をお持ちの母親の負担過多、障害告知とともに生まれる夫婦間の不和、兄弟姉妹への影響、加齢とともに発生する不登校や引きこもりなどの問題も含め、メルケアではファミリーストレスの解消や家庭における療育指導に関するカウンセリングを、児童発達支援サービス、保育園等訪問支援などとあわせて実施させていただいています。保育園等訪問指導サービスでは、保育所等の先生方との連携やご協力も欠かせません。詳しくは当センターの担当児童指導員ご相談下さい。センターのカウンセリングチームを加えて、子どものために「少しでも明るい未来地図」をかけるよう一緒に歩きましょう。
障害者を子に持つ保護者にとって、老いた後その子の行く末を案じるのは国の内外を問わず同じです。 障害のある子ども持つ家族にとって、大きく分けて四つの危機的なファミリーストレスに直面するといわれております。
➊こどもの障害にはじめて気づいたとき(障害告知)
❷こどもが通常の学校に入れるかどうか決まるとき(就学)
❸学校卒業を目前にして,社会的自立の問題に直面するとき(卒業)
❹親が年をとり,こどもの面倒をみることができなくなったとき(高齢化)(キース/KEITH1973)
日々成長しているこどもを間近にして今何ができるのか。現在の医学では何ともし難い状況の中で、親としては具体的なアクションプログラムを考えなくてはなりません。、大きな目的の一つは、私たちの子どもが不登校や引きこもりから回避させ、一人で就業し、自活できるように指導し、そして社会全体として支援できる環境を醸成していくこと。兄弟への影響も常に考慮しなければなりません。
アメリカの支援教育は、就学前1歳半、遅くとも4才までに療育することでめざましい効果を上げています。
日本の現状を鑑みますと、出来るだけ早期に療育やトレーニングを開始する必要があるにもかかわらず、保護者と社会、教育システムがうまく連携していないという現実があります。またどうしてもお子さんに発達障害があることを他人に知られたくない、認めたくないという意識をお持ちのご家族が多いのも事実です。
日本では障害の程度によらず社会的適応が容易なことではないのに、医療的支援が見いだせない難病指定の児童、軽度であるが故に社会の支援システムから取り残されている存在、特にコミュニケーション障害、オリエンテーション障害、LD、ADHD、高機能自閉症などの障害に関して、手帳のあるなし、等級の如何によって、効果的な公的サポートや通常の学習に臨床的、学術的に正しい援助が受けられていない数多くの児童が存在します。集団活動が中心の幼稚園や小学校では担任や補助の先生の手が回らいのも理解できます。ただその結果、2次障害、3次障害の併発、不登校やいじめ、将来の進学や就職に大きなハンデイを増幅してしまうと言う現実も存在しています。
現在、特別支援教育が障害種別・障害別学校の枠をはずし「どんな支援が必要か」によって考えていくという指針が立てられ実践されようとしておりますが、地域での社会参加を視野に、就学前-就学中-卒業後の一貫したケアが求められ、学校の中だけではなく、様々な機関や職種との連携、そして施設の拡充よりも支援の質的向上がより必要且つ重要になってくるものと思われます。法整備がなされても、現実の支援は利用者にとって、毎日の家族生活を穏やかに過ごせるものにはなっておりません。ユネスコのサマランカ宣言でのインクルージョンとはそうした社会インフラの上にある教育システムであることを忘れてはなりません。そして将来社会に出る子供たちがが生活保護に頼るのではなく、納税者になる方策「キャリアデザイン」をもっと早い時期から進めていかなければならないと思います。
わたくしたちメルケアのスタッフにも障害児をもつ母親たちがペアレントメンターとして支援の一助を担っています。今は子どものために働けますが、親や親族が年をとり子どもが大きくなった時、果たしてこの子は一人で暮らしていけるだろうか?キースの最後の問いかけが不安をよぎります。
欧米ではエレメンタリースクールの特別支援教育クラスから将来の大学進学や、就業に照らして個々の能力を引き出す環境適応教育の試みが行われており多くの成果が出ています。日本においてもそれに近い教育環境が整えられるようクラスマネージメント、社会適応訓練やプラクティカルトレーニングに関するセミナーなど国際間の情報交換や啓蒙活動の適時実施されています。
障害のある人もない人も、共に暮らせる社会では互いの理解や協力もかかせません。海外では重度の障害を持つ人々が多数の業種でその特性を生かした仕事に従事しております。法律が整い国や自治体の支援の充実もさることながら、民間企業とタイアップして、障害者の方々が嬉々として働け、「人並みの賃金」が得られる職場環境が創出できますよう、そして企業や地域の方の理解を醸成し一歩一歩、少しずつでも障害者の持つ特性や最先端のアクセスビリテイ技術なりを生かした職場を作っていくという活動の輪が広がれば、彼らにとって新しい希望や自活できる術が見出し得ると思います。その道は後戻りできない「ONE WAY 」なのです。
本ウエブサイトには発達障害という言葉が多く記載されていますが、これは法律や学術的に使用されている用語ですので当センターでは業務上そのまま使用しています。特に障害という単語に嫌厭の念を抱かれる方も多いとは存じますがご容赦下さいませ。