現在、米国では2009年度の調査において The Individuals with Disabilities Education Act (IDEA)という法律に基づき、アメリカ全土の障害のある子ども達(生後~21歳の誕生日まで)約650万人が早期療育や障害児教育及びそれに関連したサービスを受けています。これは就学児童数の10.8%以上に上ります。日本においても、文部科学省による平成14年度の調査によりますと、小・中学校の通常学級に在籍する総数の6.3%以上推定68万人の発達障害を含む障害のある子どもたちを適切に支援することが求められています。これは16人に一人ということになり幼稚園や小中学校の先生方のマンパワーだけでは十分な支援が困難な状況です。またこの調査はクラス担任が自分のクラスに課題ありと思った生徒の人数を合算したものであって、個々に科学的にアセスメントを実施した数値ではありません。日本における実体は米国の10.2%、英国の12%に近い可能性があります。
発達に課題をもつ子供たちには,「地域」での「生活」を視野に「自立や社会参加」に向けた長期にわたる個別支援が必要です。こうした支援は学校の中だけでは完結しません。日々成長しているこどもを間近にして今何ができるのか。大きな目的の一つは私たちの子どもが将来、高等教育を受け、一人で就業し自活できるようにすることであり、それには早期発見・早期療育が何より必要だと私達は考えています。
そうした子どもたちを適切に支援するにあたり、現在の教職現場のマンパワーだけでは十分な支援が困難な場合があります。その背景として、
❶ 特別支援学級や通級による指導の対象者が増加していること
❷ 通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒への教育的対応がますます求められていること
❸ 児童生徒の障害の状態が多様化していること
❹ 臨床経験が抱負なカウンセラーやセラピストが少なく個別の対応まで手が届かない
などが挙げられます。また欧米並みのインクルージョン教育を進めるためには、学齢期になるまでに、課題のある子どもたちへの早期のトレーニングを実施する必要があります。幼児期からのトレーニングや療育を受けずに小学校に入ってきますと、勉強が進むにつれ日々の学習についていけず、結果2次、3次障害を併発する可能性もあり、いじめ、不登校を引き出す原因にもなってきます。10才までに早期介入が実施されますと多くの場合改善効果が得られます。カナダでは18ヶ月目から、アメリカでは2歳から定期検査が実施され療育支援が開始されています。
発達障害児に関するパーソナルカウンセリングを、子どもへのソーシャルスキルトレーニングだけでなく、児童及び保護者に対してカウンセラーと現場の先生と協働してサポートできる体制を作ることが大切です。こうした発達障害児童を持つ家族に対して、医療ケアからアセスメント、教育的介入までを横断的に行うことで、学齢期までには多くの改善が見られます。同時にファミリーストレスの解消のためのサポートができる体制の構築が必要です。子どもに課題が見られた場合、早期発見、早期療育は、本人にとって将来を決するぐらい大事な事であるということを、保護者と保育や教育に携わる方々が共有されることが何よりも重要です。
ファミリーストレスのページを御覧ください。△
本ウエブサイトには発達障害という言葉が多く記載されていますが、これは法律や学術的に使用されている用語ですので当センターでは業務上そのまま使用しています。特に障害という単語に嫌厭の念を抱かれる方も多いとは存じますがご容赦下さいませ。