メルケアみなとセンターでは、利用者の療育の中で下記のいくつかの検査を実施しアセスメントの作成及び療育の指針の一つとして利用しています。検査の利用に関してはそれぞれの検査の特徴を理解して目的に合った検査を選ぶことが大切です。そして一つの検査や療育手法のみを実施するのではなく、対象となる子どもの支援のために必要な検査や手法を組み合わせてあくまで参考材料として実施していくことが大切です。
各種検査は、クライアント(利用者)の依頼に基づき実施されますが、検査の実施においては検査者の技量、その時の環境、児童の状態によって大きく左右される場合があります。従って、その検査結果の数字のみが独立して利用され、児童の進路や療育手法を狭めるようなことがあってはならないということを保護者や保育・教育・療育関係者の方にはお含みおき頂けますようお願い申し上げます。当施設ご利用者以外の方への検査は実施しておりません。
尚、メルケアみなとセンターと医療連携協定先である東京慈恵会医科大学付属病院において、医療的診断及び所見を伴うクライアントの各発達検査・心理検査・心理相談を含む各種診断を施行していただいております。
【支援計画用アセスメント】
(Vineland-Ⅱ)適応行動尺度
Vineland-IIは医療分野だけではなく,教育や福祉分野の個別支援計画の立案,現状の支援程度評価の課題を補う意味でも,有用な情報を提供してくれるアセスメントツールです。また,アメリカ精神医学会(APA)刊行のDSM-5(2013)では,「知的能力障害は発達期における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害」と診断基準が変更されました。そのため,日本においてもこれまで以上に,特に知的障害や発達障害の人たちの支援を行うためには,IQによる診断だけでなく,適応行動を把握することが重要になってくるものと思われます。VinelandⅡは、適応行動つまりどういう行動を実際にしているのか、支援があればできるのか、支援がなくても自分で出来るのかといったことを同年代の一般的な集団の中で評価していくものです。潜在的にある行動が出来えるかではなく、実際にしている行動を評価し必要な支援内容を明確にしていくことを目的としています。
(DESC) 乳幼児社会的認知発達チェックリスト
LD、ADHD、広汎性発達障害などの疑いを乳幼児期に見出すためのチェックリスト。「社会的認知発達」の見地からその兆候を見出す。
適用範囲:0歳 6 ヶ月~3 歳5 ヶ月
(PRS) LD児のためのスクリーニング・テスト
LD・ADHD 児にも色々なタイプがある。タイプを知ることがその後の指導に必要です。PRS は「言語性LD」「非言語性LD」「総合診断」ができます。
適用範囲:5 才~中学
【知能系検査】セカンドオピニオンとして実施
(WISC-Ⅳ)
(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition)
5歳0カ月~16歳11カ月の子どもを対象にした、世界でも広く利用されている代表的な児童用知能検査です。(60分~95分)
全15の下位検査(基本検査:10、補助検査:5)で構成されており、10の基本検査を実施することで、5つの合成得点(全検査IQ、4つの指標得点)が算出されます。それらの合成得点から、子どもの知的発達の様相をより多面的に把握できます。
合成得点(全検査IQ、指標得点)、下位検査評価点に加えて、7つのプロセス得点も算出でき、子どもの検査結果についてより詳しい情報が得られます。
(WPPSI)
(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence 略称ウイプシー)
幼児向けのウエクスラー式知能検査。6 種類の言語性下位検査と5 種類の動作性下位検査で構成されていて、言語性IQ と動作性IQ および全検査IQ を測定。知的発達の状態を評価点プロフィールで表示することで、「個人内差」という観点から分析的に判断できます。保育所、幼稚園、教育相談所、児童相談所、小児病院などの臨床場面で広く活用されています。
適用範囲:3 才10 ヶ月~ 7 才1 ヶ月 所要時間:45分
(就学児判 田中ビネー知能検査Ⅴ)
就学に関して特別な配慮が必要であるか否かの診断に特化した、就学児診断用の田中ビネー知能検査V。
子どもが十分に能力を発揮できる日常場面に即した問題内容で構成。「年齢尺度」で構成されているので、子どもがどのように発達するのか、通常の発達レベルとどのような関係にあるのかなどを理解するのに役立ち、ケアへの施策を容易にしてくれます。
全体的な遅れを持つ子どもの診断にも対応しています。
提要範囲:5~6歳(4~7歳)
【言語系検査】
構音検査
構音障害(発音が正しくできない障害)を分析・診断する臨床検査です。構音障害は就学前の幼児や小学校低学年の児童で多く発見されます。本検査は、就学時前の幼児から実施でき、発音の誤りの性質を分析し、構音治療の指針を得ることができます。就学前幼児から幅広く実施することが可能です。
適用範囲:幼児~
SS法 言語発達遅滞検査
発達レベル1 歳前後~小学校就学前後まで、言語の記号形式 - 指示内容関係の段階に即した一貫した評価が可能。•発達レベル1歳前後~小学校就学前まで、言語の記号形式-指示内容関係の段階に即した一貫した評価ができ、検査結果は、そのまま言語訓練と直結した臨床評価にもなります。言語記号未修得児の、言語習得以前の検査も可能で言語発達遅滞児の臨床上の指針となります。
適用範囲:1才~6才
PVT-R 絵画語彙発達検査
Picture Vocabulary Test-Revised
言語の理解力の中でも特に基本的な「語彙の理解力」の発達度を短時間に測定する。4 コマの絵の中から、検査者の言う単語に最もふさわしい絵を選択させます。種々の心理検査を組み合わせて行う場合の導入検査として最適です。
適応範囲:3才0か月~12才3ヶ月 所要時間15分
ことばのテストえほん
「話しことばの障害」をできるだけ早期に発見し、適切な指導を行うためのスクリーニングテスト。短い個別面接を通して、障害が疑われる子どもを選び出します。
適応範囲:幼児~小学校低学年 所要時間 5分
認知・言語促進プログラム
のぞみ発達クリニックで開発された発達障害児のための指導プログラム。様々なタイプ発達障害児に使用でき、個別指導計画作成の資料にもなります。
適応範囲:6カ月から6才
LC スケール
Language Communication Developmental Scale
乳幼児の言語コミュニケーション発達を基盤にしてつくられた検査法。語彙、文法、語操作、対人的なやりとり等を精査し、LC 年齢とLC 指数を求めます。
LC スケール:0 ~ 6 歳11 ヶ月
LCSA:小学1 年~ 4 年
ノンバーバル検査
Non-verbal test
ことばが未発達なこどものための発達診断検査。ことばをほとんど使わず、ジェスチャーだけでこどもが理解できるように工夫されています。
適用範囲:2才~8才
【知能系検査】
WPPSI 知能診断検査
Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence (略称ウイプシー)
幼児向けのウエクスラー式知能検査。6 種類の言語性下位検査と5 種類の動作性下位検査で構成されていて、言語性IQ と動作性IQ および全検査IQ を測定。知的発達の状態を評価点プロフィールで表示することで、「個人内差」という観点から分析的に判断できます。保育所、幼稚園、教育相談所、児童相談所、小児病院などの臨床場面で広く活用されています。
適用範囲:3 才10 ヶ月~ 7 才1 ヶ月 所要時間:45分
【発達系検査】
DENVER II デンバー発達判定法
Denver Developmental Screening Test
子どもの異常を早期に発見する一次スクリーニング。小児科外来や保育所・幼稚園でちょっと気になる児を診たときに客観的に判定することが可能。本検査は1960年代にアメリカFrankenberg博士らによって開発された乳幼児から6歳までの世界標準の発達判定法で、日本では2003年に現在の「DENVER Ⅱ」となり、子どもを日常みている専門家が乳幼児の相対的な発達の遅れや早さを簡便に評価できる発達判定法です。
適用範囲:0 才~ 6 才
DTVP フロスティッグ視知覚発達検査
Developmental Test of Visual Perception
保育所、幼稚園、小学校低学年の子どもの視知覚上の問題点を発見し、適切な訓練を行うための検査です。次の5つの視知覚技能を測定します。
1.視覚と運動の協応
2.図形と素地
3.形の恒常性
4.空間における位置
5.空間関係
適用範囲:4 才~7 才11 ヶ月
MEPA-R ムーブメント療育プログラムアセスメント
Movement Education and Therapy Program Assessment-Revised
子どもの発達を、運動・感覚(姿勢、移動、技巧)、言語(受容言語、表出言語)、社会性(対人関係)の3分野6領域にわたりチェックします。
児童の運動技能、身体技能、身体意識や心理的諸技能が今どこまで発達しているかを把握し、発達支援の手がかりを得ることができます。
MEPA-Rは、1985年に発行されたMEPAを基本となる構成・内容は変えず、必要なアセスメント項目を増やし、30項目に統一し、全項目の評定に芽生え反応として (±)を加えました。また、プロフィール表で発達の様子を見やすく工夫しました。
適用範囲:0 才~ 6 才
随意運動発達検査
A normative study of the developmental voluntary movement test. Revised
運動パターンを幼児に模倣させる手続きにより、随意運動の発達特徴を診断する。高次運動機能の発達に視点をおいた神経心理学的検査。幼児の反応を課題ごとに達成基準に照らし合わせ、達成されたか否かを判定します。
適用範囲:2 才0ヶ月~6 才11 ヶ月 20~30分
【認知系検査】
CAB 認知能力伸長検査
認知能力の一つ「流動性認知能力」を鍛えるために開発された検査。
[ テスト編] と[ トレーニング編]を繰り返すことで、認知能力の伸びを実感する。
適用範囲:5才以上
DN-CAS 認知評価システム
Das-Naglieri Cognitive Assessment System
DN-CASは、Luriaの神経心理学モデルから導き出されたJ. P. Dasによる知能のPASS理論を基礎とする、新しい心理検査です。
「プランニング」(P)「注意」(A)「同時処理」(S)「継次処理」(S) の4つの認知機能(PASS)の側面から子どもの発達の様子を捉えることができます。5歳0カ月から17歳11カ月まで幅広い年齢で実施することができ、さらに再検査を実施することで子どもの長期的な予後を調べたり、認知機能の特徴・変化をみていくことができます。
12種類の下位検査を行う標準実施を基本として、8種類で行う簡易実施も可能です。
言語的知識や視覚的知識にあまり頼らずに認知活動の状態を評価できるよう工夫されているため、新しい課題に対処する力を見るのに適しています。LDやADHD、高機能自閉症等の子どもたちに見られる認知的偏りの傾向を捉えることができ、その援助の手がかりを得るために有効です。「プランニング」のそれぞれの下位検査に方略評価チェックリストがついていて、子どもが問題に取り組んだプロセスを確かめることができます。
適用範囲:5 才~ 17 才11 ヶ月
LD系検査
STRAW 小学生の読み書きスクリーニング検査
学習障害の中核障害である「発達性読み書き障害(発達性dyslexia)」を診断評価するために必要な学習到達度検査。小児失語症の読み書きの評価にも有用。
適用範囲:小学生
Conners 3 日本語版
当検査は、ADHD(注意欠如・多動性障害)をはじめとする小児期の問題において第一人者と言えるC. Keith Connersにより開発されました。コナーズの初版の評価スケール(CRS)は1989年に刊行され、その後も改訂を重ね、米国では2008年にConners3を出版しました。 6 ~ 18 歳の児童・生徒を対象とした、注意欠陥/ 多動性障害(ADHD)およびADHD と関連性の高い症状を評価する検査。Conners3の主要因スケールとしては、臨床的な構成概念を念頭に置いた「不注意」「多動性/衝動性」「学習の問題」「実行機能」「攻撃性」「友人/家族関係」の6つを測ります。またDSM‐Ⅳ‐TRの症状スケールとして「ADHD不注意」「ADHD多動性-衝動性」「素行障害(CD)」「反抗挑戦性障害(ODD)」の4スケールを検証します。後者については、質問項目はDSM-Ⅳ-TRの基準とほぼ同様です。ADHDと共存することの多い、不安と抑うつに対するスクリーニング項目も設けられています。
適用範囲:6 ~ 18 歳(本人用検査用紙は8 ~ 18 歳)
CARS 小児自閉症評定尺度
THE CHILDHOOD AUTISM RATING SCALE
ショプラーにより提唱された自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)の診断技法。
適用範囲:小児期